再生医療を応用した美容再生医療はヒト幹細胞培養上清液や幹細胞エクソソームを体内に注入し、ハリやたるみなど、肌の悩みに体の内側からアプローチするものです。まずは治療に使われるヒト幹細胞培養上清液、脂肪幹細胞エクソソームについて説明しておきましょう。
ヒト幹細胞培養上清液は、幹細胞を培養した際に、培養液から幹細胞を取り出して滅菌処理などを行った上澄み液のことです。この幹細胞培養上清液には、幹細胞から分泌された様々なサイトカイン(成長因子)が豊富に含まれています。サイトカイン(成長因子)とは幹細胞から分泌される生理活性タンパク質のことで、細胞の増殖や分化などを調節する働きを持ち、体内の損傷を受けた組織や細胞の機能回復に重要な役割を果たします。
脂肪幹細胞エクソソームは、脂肪幹細胞が細胞外に分泌する情報伝達物質です。細胞間のメッセージの伝達を行う働きがあり炎症の抑制、免疫環境の整備など、標的の細胞が自力で回復できるように働きかけ、組織の修復作用を促します。
また、自分の血液から作られたPRP(多血小板血漿)を特殊な技術でさらに濃縮して血小板を活性化し、より多くの成長因子を取り出しフリーズドライ化したものを使うPFC-FD療法もあります。この治療は変形性関節症の治療で知られていますが、肌再生治療や毛髪再生治療にも使われています。
ミライズクリニック南青山/銀座の美容皮膚科では再生医療を応用した以下の肌再生治療、毛髪再生治療を実施しています(いずれも健康保険適用外の自由診療)。
治療にはダーマペン4やMPガン(メソガン)という特殊な機器を使用します。ダーマペンは極細の16本の針を持ち、電動で1秒間に120回振動させ、真皮層まで届くよう皮膚に微細な穴を開けます。幹細胞培養上清液などの薬液と併用することで、その微細な穴から美容成分を皮膚の最適層に浸透させます。メソガンは1本の極細針で一定量の薬液をスピーディかつ均一に皮膚の最適層へ細かく注入できます。また他にも点滴による治療もあり、こちらは全身のエイジングケアにアプローチします。
実際の治療に使用されるダーマペン4(左)とMPガン/メソガン。
同クリニックにおいて再生医療総監修医の佐藤敦医師の下で施術を行っている看護師・小田切千幸さんに美容再生医療について詳しく話を伺いました。
「近年は女性に限らず男性も美容意識の高い方が多く、幹細胞培養上清液などを使う美容再生医療に関心のある方が増えています。御年齢を重ねることによるハリの減少やたるみなど、お肌の悩みはどなたでも何かひとつは持っていると思います。その悩みに対し、再生医療を応用した美容再生医療では幹細胞培養上清液やエクソソームなどの薬液を使用し、ダーマペンやメソガン、注射や点滴などで、体の内側や外側からアプローチ。本来人間が持っている再生能力をサポートします」
ダーマペン施術の実際の治療時間などについて教えていただきました。
「カウンセリングも含め施術時間は90分から120分です。ダーマペンはお肌の表面に麻酔クリームを塗って行い、出血はほぼありませんが、人によって赤みなどが出ることがあります。メソガンは皮膚の深い部分に薬液を注入するので小さな点状のかさぶたが出来ます。また内出血や赤みが出ることもありますが、いずれも2~3日程度で消えます。治療後、当日はメイクや洗顔、シャンプーは控えていただいております。肩から下のシャワー浴はOKで、翌朝からは普段通りにシャンプー、洗顔やメイクもしていただけます」
なお幹細胞培養上清液、エクソソームを使った治療は1回の来院で完了しますが、PFC-FDを用いた治療は自身の血液を採取し、成長因子を抽出したあと、それを高濃度に濃縮しフリーズドライする工程(約3週間)が必要なため、採血と施術で2回の来院が必要となります。
こうした再生医療を応用した治療の効果については個人差がありますが、実施後、1~2週間後くらいから肌のハリ感やトーンアップを感じる方が多いと小田切さんは話されます。
「この治療は体の内側や外側から再生を促すというものであり、月に1度の施術を3回もしくは4回連続して試していただき、肌がどう変化したか患者様と一緒に確認してから次のステップを御提案しています。最初に申し上げたとおり御年齢を問わずお肌の悩みはどなたでも何かひとつは持っていると思います。そういう意味でも御年齢を問わず皆様に御提案したいのがこの再生医療を応用した肌再生治療です」
話を伺ったミライズクリニックの再生医療・美容再生医療担当・小田切看護師。
ミライズクリニック南青山/銀座では肌再生治療以外にも、再生医療を応用した毛髪再生治療を実施しています。小田切さんは「毛髪の悩みは男女ともに多くの方が抱えている悩みだと思います」といい、こう続けました。
「毛髪の悩みは年配の方だけでなく、社会環境の変化によるストレスや食生活の変化によって若い方にも多くなってきているのが特徴です。毛髪の悩みが原因でコンプレックスを感じたり、気持ちが後ろ向きになることもあります。再生医療を応用した毛髪再生治療はそういう悩みにもアプローチできるものだと考えています」
治療はメソガンで直接、頭皮に幹細胞培養上清液やエクソソームなどの薬液を注入します。毛根の奥には毛乳頭と毛母細胞があり、頭皮に注入された成分が細胞の再生能力をサポートします。メソガンによって前頭部のM字ラインや頭頂部をはじめ、気になる部分に満遍なく薬液を注入します。また、治療前にハイドラフェイシャルという機器で毛穴や肌表面の汚れを除去するメニューも用意されていて、再生因子を用いた肌再生や毛髪再生をより高める効果も期待できます。
メソガンは極細の1本針で皮膚の最適層へ美容成分を注入する。
一般的な毛髪再生治療の頻度について小田切さんは「1回だけの施術ではなかなか効果の実感は得られないため4カ月、5カ月という期間、継続的に治療を受けられることを御提案しています」といい、こう続けました。
「毛髪の悩みは男性だけでなく、女性は出産後に毛量が減った感覚を実感される方がいらっしゃいます。そういった方もカウンセリングを受けていただきたいですね。毛髪、そしてお肌の悩みに寄り添い、皆さんのお悩みやコンプレックスの解消の手助けになれれば、先進的な美容再生医療に関わる身としてこれほど嬉しいことはありません」
その他、ミライズクリニック南青山/銀座では、エイジングケアメニューとして、長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)を活性化させ、老化現象の遅延にアプローチすると話題のNMN(ニコチンアミド・モノ・ヌクレオチド)点滴、抗酸化作用を持つ高濃度ビタミンC点滴も用意。美容再生医療と併用することで、より効果が高まるとされています。
なお、以下の方は再生医療を応用した美容再生医療を受けることはできません。「現在、ガンと診断されガン治療中の方」「未成年の方」「妊娠中および妊娠の可能性のある方と授乳期の方」。いずれの治療も健康保険適用外の自由診療となります。
上記で紹介したメニューを含め、ミライズクリニック南青山/銀座に用意されている美容再生治療のメニュー料金は下記料金表のとおりです。ダーマペンメニューにハイドラフェイシャルや高濃度ビタミンC点滴などをセットにして、各メニュー毎月1回の施術・サービスにNMNサプリメント1カ月分がついたサブスクリプションプランもあります。
佐藤敦(さとう・あつし)
昭和大学江東豊洲病院整形外科講師、日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本体育協会公認スポーツドクター、日本医師会認定健康スポーツ医ほか。東京2020大会ではジャマイカチームの公式ドクターを務める。ミライズクリニック 再生医療総監修医。
小田切千幸(おたぎり・ちゆき)
看護師・医療安全管理者。国家資格取得後約10年間、救命救急医療の現場で最前線の医療に従事。外科・内科・手術室・予防医療・企業などマルチな分野で研鑽を積む。2016年に再生医療分野へ転身。2022年よりミライズクリニックの再生医療・美容再生医療部門にて、これまで培ってきた知識と技術を発揮している。
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