ウェルビーイング
医食住メディア

医食住ウェルビーイングメディア

身体

2022.07.20

膝痛治療最前線② 多くの人が悩む変形性膝関節症とは?(整形外科医師・佐藤敦)

整形外科医師/佐藤敦

整形外科医師/佐藤敦

「ドクターボイス~医療の現場から」では医療の現場で働く医師から最新の医療について話を聞きます。今回も多くの人が加齢とともに悩む変形性膝関節症など、膝の痛みについて、幹細胞を使った再生医療を含め、多くの人の痛みに対し「どうにかしたい」と膝痛治療に取り組む整形外科医師・佐藤敦ドクターに話を伺いました。(聞き手・前田成彦)

軟骨が摩耗し、膝に強い痛みを生じる「変形性膝関節症」

膝痛治療について2回目となる今回は、「変形性膝関節症」の具体的症状と痛みが起こるメカニズムについて、佐藤ドクターに詳しく伺っていきます。まず変形性膝関節症とは、具体的にどのような症状なのでしょう。

「変形性膝関節症とは、膝の軟骨が摩耗することで、炎症が引き起こされ膝に痛みが生じる関節の疾患です。痛む箇所ですが、日本人に特に多いのが膝の内側。全体的に痛むというより、ピンポイントで鋭く刺されたような痛みを感じます」

「例えばイスから立ち上がる時や歩き始めなどの初期動作、そして階段の上り下りですね。特に階段は、下る時の方が体重がかかり、強い痛みが表れます。他には正座しようとした時や、走ったり長距離を歩いた後にも、痛みを感じることがあります」

初期症状が表れるのは、早ければ30代後半~40代前半ごろ。要因として考えられるのは加齢や肥満ですが、明確な要因がわからないまま、痛みを感じ始めるケースも多くあるといいます。

「若いころから膝関節は摩耗しますが、軟骨の細胞にはもともと修復能があることが最近わかっています。要は若いころは膝関節が摩耗しても修復、再生が可能ということです。でも加齢によって修復力が落ち、徐々に膝関節の摩耗が進んでいくわけです」

治療は大きく分けて「保存療法」と「手術療法」

多くの人は膝に痛みを感じても、膝痛治療を受けることなく少々ならば我慢しがちです。「特に我慢強い日本人には、その傾向が強いですね」と佐藤ドクターは指摘します。

「我慢を続けて痛みを放置し続けると、軟骨の層がどんどんすり減っていきます。最終的には膝を動かすたびに、骨と骨が軟骨というクッションのない状態でダイレクトに擦れたり、ぶつかり合うことになる。さらにそれを放置すると、膝の骨自体がえぐれてきます。ここまでくると、想像するだけで痛いですよね」

「先ほど申し上げたように、イスから立ち上がる時や階段の上り下りなどの日常動作で強い痛みを覚えることは、QOL(生活の質)を著しく損ないます。少しでも痛みを感じたら、痛みがひどくなる前にかかりつけ医に相談してほしいと思います。そして変形性膝関節症である、という診断を受けた場合、いち早く治療を始めることをお勧めします」
では、具体的にはどのような治療が行われるのでしょうか。膝痛治療には大きく分けて『保存療法』と『手術療法』があります。

「保存療法とは、手術を行わない治療法の総称です。例えば関節部にかかる負担を軽減するための減量指導もそうですし、周囲の筋力を上げる運動療法、サポーターや靴底に敷くインソールや杖の使用、そして電気などによる温熱療法、炎症や痛みを抑える飲み薬や貼り薬の処方、痛みを和らげるヒアルロン酸やステロイドの関節内注射などがあります。これらにリハビリなどの運動療法を組み合わせ、症状の進行を緩やかにしていきます」

「ただし保存治療も変形度合いがひどくなると『手術療法』を視野に入れることになります。手術は程度によってさまざま。例えば内視鏡を関節内に入れて半月板などをクリーニングする『関節鏡手術』や、O脚が進んで膝の内側に体重がかかりすぎている状態を骨を切って矯正する『骨切り術(こつきりじゅつ)』などがあります。加えて変形が進行し痛みが良くならない場合、人工関節への置き換えも選択肢に入ります」

つまり変形性膝関節症には膝痛治療と言っても多くの治療法があり、症状の進行状況によって適したものを選ぶ必要がある、ということです。次回は先に述べたそれぞれの治療法のメリットとデメリットを、引き続き佐藤ドクターにうかがっていきます。
(この項つづく)
  • 記事をシェア
  • 記事をツイート
  • 記事をLINEで送る

整形外科医師/佐藤敦

整形外科医師

佐藤敦

整形外科医師。昭和大学医学部卒。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本医師会健康スポーツ医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、義肢装具等適合判断医、身体障害者福祉法第15条第1項指定医、臨床研修指導医の資格を持つ。東京2020ジャマイカメディカルサポートチームドクター。現在、昭和大学江東豊洲病院整形外科講師、ミライズクリニック南青山再生医療総監修医を務める。専門は膝関節、スポーツ医学。

Ranking

pagetop