元サッカー日本代表長澤和輝選手特別対談vol.2パフォーマンスを上げるために、トップアスリートたちがマウスピース矯正やワイヤー矯正をする理由

歯科医師 / 富田 大介

2023-05-18

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前回に引き続き、元サッカー日本代表で現名古屋グランパス所属の長澤和輝選手とミライズウェルメディカルグループ代表の富田大介先生の特別対談vol.2。
前回はC・ロナウドはじめ、海外の一流サッカー選手の歯並びと歯科矯正の話をしました。
今回は長澤選手自身のワイヤー矯正やマウスピース矯正についてお話を聞いてみました。
選手とドクターの信頼関係がなくては、プレーのパフォーマンス向上は叶いません。
長澤選手のパフォーマンスを上げるための歯科矯正について、富田先生と一緒にひも解きます。
前回の対談はこちらからご覧ください。

目次

噛み合わせを良くすれば、サッカー選手に必要な「踏ん張る力」が変わります!

長澤和輝選手(以下、長澤に略) 富田先生に矯正治療をお願いしたのが、2018年でした。最初に東京医科歯科大学で顎(あご)のCTスキャンを撮ってもらいました。その画像を見たら、奥歯の噛み合わせの左右差がかなりありました。サッカー選手はヘディングやシュート、ボールキープなどで踏ん張る時に奥歯にグッと力を入れてプレーしています。CTスキャンの結果、僕の場合、奥歯に力が加わるバランスが悪かったのです。8対2くらいで片方に力が偏っているような噛み合わせと知って、驚きました。

富田大介先生(以下、富田に略) 長澤選手は強い咬筋(こうきん:下顎を引き上げて歯を噛み合わせる筋肉)を持っていますが、奥歯の噛み合わせにかなり左右差がありました。食いしばり(上下の歯で強く噛み合わせること)も激しい状態でした。この噛み合わせの状態でよく左右バランスを取って、よくちゃんとプレーできているな…と感心しました。左右差が激しい噛み合わせだと、当然重心がずれてしまいます。サッカー選手にとって大切なのは、試合中の「踏ん張る力」。踏ん張る力は、噛み合わせと起立筋が関係しています。背骨から腰骨までの背中の中心ある筋肉が起立筋です。噛み合わせに左右差があると、起立筋とのバランス…つまり、体のバランスが悪くなります。しかし、長澤選手は才能とセンスと努力でバランスの悪さをカバーしていたのです。

長澤 2018年の冬から歯科矯正をしながらプレーしています。それによって、顎の筋肉の張りも減ってきました。噛み合わせと咬筋、起立筋のバランスが良くなりました。身体のバランスが良くなることで、プレーパフォーマンスも上がりました。身体への偏った負担が減ることで、ケガや不調も減り、長く活躍できるかと思います。

さらに歯科矯正で歯並びを良くすれば、選手生命も延びるんです!

富田 最初はワイヤー矯正でしたが、今はマウスピース矯正ですが、いかがですか?

長澤 ワイヤー矯正の方がしっかり歯を動かして矯正くれている!という感覚はあります。噛み締めも強いですし、ワイヤーでグッと伸ばしてくれていた方がしっかり歯を矯正している感じがありました。しかし、サッカーは接触プレーの激しいスポーツです。試合中に相手選手の手や頭が顔に当たることも、しょっちゅうです。接触によって口の中が切れてしまったり…、さらに接触プレーによってワイヤーがグチャグチャになって、試合後にワイヤーのメンテナンスをしなければいけなくて…、など大変でした。そこで、富田先生に相談して、僕が浦和レッズから名古屋グランパスに移籍するタイミングで、マウスピース矯正に切り替えました。

富田 マウスピース矯正はワイヤー矯正よりも、矯正のクオリティがちょっと下がる感があります。しかし、長澤選手は噛み合わせが深く、噛み締めが激しく、また試合中は接触が激しいので、マウスピース矯正でいいと思いました。このように、それぞれのライフシーン、ライフスタイルに応じて、患者さんに適した矯正していくのが大事です。矯正治療は毎日何年間も続くので、ストレスなく、患者さんの生活に適したものを選ばなければいけません。

長澤 僕は練習のときも試合中も普段の生活の中でも、この矯正用のマウスピースをずっと着けたままです。試合中に相手選手の肘が入って前歯が折れてしまう選手もいます。この矯正用のマウスピースが歯をカバーしてくれているのかな、と精神的な安心感もあります。

富田 マウスピースをすることで歯の接触面積が広くなり、歯根膜(しこんまく)への負担が分散されて均等に力が加わるようになります。歯根膜とは、歯の根っこと歯を支えている骨をしっかりと結び付ける膜で、歯にかかる力を吸収、緩和し、歯に加わる力を和らげるクッションみたいなもの。噛み合わせが悪い方は、歯根膜に均等に力が分散されていません。

長澤 食いしばったときに、この矯正用のマウスピースをすることで、歯が全体的に当たって、力が均等に加わっている感があります。奥歯だけに力が加わっていると、負荷が強くなりすぎて、歯が割れたりします。特にキャリアの長いサッカー選手の歯は、かなりすり減ってきます。そういう意味でも、噛み合わせを良くすることで選手生命も延びると思います。富田 おっしゃる通りで、ハイパフォーマンスはもちろん、現役生活も延びると思います。

長澤 あとは、おまけみたいなことですが、インタビューや取材で人前に出たときに、歯並びがキレイだと印象もいいですよね! 自然と笑顔になります(笑)。

※元サッカー日本代表長澤和輝選手特別対談vol.3 
「再生医療を受けて大ケガから復帰!トップアスリートにとって選手生命を延ばす医療とは…大いに語る!」
https://bene-vita.jp/2309/

長澤和輝選手プロフィール
1991年12月16日生まれ。千葉県出身。プロサッカー選手。現在、名古屋グランパス所属。2014年ドイツ・ブンデスリーガ FCケルンでプレーし、2016年浦和レッズに移籍。2016年ジェフユナイテッド千葉に期限付き移籍。2017年浦和レッズに復帰。同年に日本代表に選出。2020年浦和レッズから名古屋グランパスに移籍。現役Jリーガーとして活躍するかたわら、2019年に早稲田大学院スポーツ科学研究科に入学し修了。

クリニック情報
ミライズ矯正歯科南青山
TEL. 03-5468-5585
東京都港区南青山6-13-5ポルトポヌール1階
https://mirise-ortho.com/
診療科目/矯正歯科(成人矯正・小児矯正)
診療時間/10:00~14:00、15:00~20:00
休診日/祝日
学会・出張などにより臨時休診あり

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この記事を書いた人

東京都出身。歯科医師。 株式会社メディデント代表取締役。 一般社団法人日本オーラルヘルス協会代表理事。 昭和大学歯学部卒。東京医科歯科大学大学院専攻過程修了。同大学非常勤講師。ミライズ矯正歯科南青山、ミライズオーラルヘルス(南青山院・銀座院)、ミライズラボラトリー(歯科技工所)、ミライズクリニック(南青山院・銀座院)、メディカルパーソナルジム&パーソナルサウナ「med.」南青山などを運営するミライズウェルメディカルグループ代表。2022年、おクチから「幸せ」になるウェルビーイングメディアBene Vita(ベネヴィータ)を共同プロデューサーとして立ち上げた。

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